【オランダハウス日記】 肥前名尾和紙を訪ねて Visiting the Japanese paper factory ; Hizen Nao Washi

2018.10.08

3週間ほど前だったでしょうか、ビクターさんが通訳兼役に立たないお世話係の私に、

「刺繍プロジェクトに来て下さった女性が見せてくれた日本の和紙アートこれがすごい作品で、どこが作ったものか探したいんだけどわからない……」

と相談されました。

そんな雲をつかむような話、と思ったのですが、ビクターさんはよほど強いご縁を佐賀に持っておられるのでしょう、その作品は佐賀市にある「肥前名尾和紙」のものであることがわかりました。
思い立ったが吉日で、あくる日、早速、工房をお訪ねしました。肥前名尾和紙のある大和町周辺では、昔から集落をあげて和紙づくりをしていた場所です。ちょうちんなどに貼る無地の上質の和紙を生産していましたが、戦後、需要が減るにつれて、いまは1軒になり、300年の歴史をまもる佐賀の重要無形文化財の指定を受けています。

http://www.naowashi.com/

 

ものづくりにたずさわる人同士は、国境を超えて心が通じます。すぐにビクターさんはご主人の谷口さんと息子さんの弦さんと、和紙について、その技法について、どんどん話し始めました。
自分が引き受けなければ、ここで絶えてしまう技術を毎日仕事にしていくことは、どれほどの責任を感じるのだろうか、と思いますが、親子で上質の和紙作りにとりくみ、今年は新しい素材づくりにも挑戦しているとのこと。それを支える奥様もとても素敵なあこがれのご一家です。

佐賀市の小学校・中学校の卒業式では、校章の透かしの入った肥前名尾和紙の卒業証書を手渡されます。たいへんな枚数なので、かなり前から作り始めるそうですが、

「これどうやって透かしをいれるの!」

「どうやって乾かすの」

矢継ぎばやにビクターさんの質問が続きます。

とても時間が足りずに、「休みの日にまたゆっくり来ます」と言って、工房&すてきなギャラリーを後にしました。

 

佐賀市内から肥前名尾和紙までは車で30分程度。これぞ日本の里山!という田園風景が続きます。
「オランダにはまず山がないでしょ? だからこんな山のある場所に住みたいなあ。そして毎日アートを作って、仕事をする」とビクターさん。

またひとつ、佐賀でのご縁を結んだ秋の午後でした。

 

(文・オランダハウス 樋渡優子 text by YUKO HIWARTARI)


↑右から肥前名尾和紙6代目谷口祐次郎さん、ビクターさん、7代目を継ぐ谷口弦さん。初めてとは思えないほどお話しが弾みました。


↑和紙づくりの現場。いい仕事がされている場所はたたずまいでわかります。


↑和紙づくりを見学したり、小物を作ったりする体験教室もあり。別棟のギャラリーでは美しい和紙と、和紙をつかったさまざまな商品・作品が楽しめます。


↑この場所から、丈夫で美しい日本の和紙が生まれます。


↑透かし入りの卒業証書が作られているのを見て、「すごい……」としばし沈思黙考するビクターさん。

2018.3.17 - 2019.1.14
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