【☆彡オランダ国歌に隠された言葉とは?☆彡☆彡】 The acrostic “Wilhelmus van Nassouwe”

2018.11.27

先日、オランダハウスのオランダ人インターン生・ブライアンさんが、オランダの国歌を書いて、それぞれの行の先頭の1文字を書き出しました。

 

「これ、日本語で何ていうの?」

 

と聞かれて、つい、ダンスがすんだとかと同類の回文(かいぶん)、と言ってしまいましたが、これは間違い。謹んでお詫び申し上げます。
正しくは「折句(おりく)」といいます。詩や短歌などの先頭や何文字目かを規則正しく並べてみた中に、特別な意味の言葉が入れ込まれたもの。

 

高校の時に古文で習った、『伊勢物語』に、主人公の在原業平(ありわらなりひら)が友達と旅に出る。三河の国(いまの愛知県)で、かきつばたの咲く沢のほとりでに立ち、「かきつばたといふ五文字を句の上にすえて旅の心を詠んでみなさい」と求められて、

 

から衣 きつつなれにし 妻しあれば
はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ

 

唐衣もずっと着ているうちになよなよとして、身に添うように、慣れ親しんだ妻があるので、その妻から離れて「はるばるここまで来たものよ」とこの旅を思うことだなあ

 

と詠んだ。歌の5、7、5、7、7の先頭を取り出すと、
か、き、つ、ば、た
になると(は、は、ばにカウントできるルール)。
これが「折句」の例。実際に歌を詠むまでにどれぐらい時間がかかったのか、在原業平のような歌の名手は、すぐにすらすらと出て来たのか知りたいものですが、ブライアンさんいわく、オランダ国歌の1番から15番まであるうちの、最初の言葉を取り出してみると、

 

WILLEM VAN NASSOV

 

になる。これはWILLEM VAN NASSAUの古い綴り文字で、これはオランダ国歌「ヴィルヘルムス・ファン・ナッソウエ」にその偉業が歌われているオランダ建国の父、オラニエ公ウィレム1世(オラニエは英語ではオレンジとなる)のことなのだそう。公は、現オランダ王家の古い祖先でもあり、1568年にスペインを相手に始めたオランダ独立戦争の英雄。元はオランダ人ではなく、ドイツ人貴族でしたが、ネーデルランド地方の人々のために国王フェリペ二世に反旗を翻し、戦い、凶弾に倒れたと。
自由のために国王に反旗をひるがえすと決意するウィレム1世の独白が歌詞として描かれ、その名前が「折句」の形で国歌の中にちゃんと読み込まれている。正式に国歌として制定されたのは1932年ですが、そのメロディは1570年頃に歌われたフランス従軍歌を用いたものとわかっており、現存する国歌の中では最も古いもののひとつと言われているそうです。

 

作詞はウィレム1世の親友が作った、同じく16世紀のものだそうですが、名前を読み込むとはいきなはからいですね。

 

(文・オランダハウス広報 樋渡優子)

 


ブライアンさんが書いた、オランダハウス内のボートのオランダ国歌。

 


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