佐賀と日本への感謝にあふれた ★★ヴィクターさんのレクチャー(10月28日)のお話しを掲載いたします(その1)★★

2018.12.29

※こちらの記事は、2018年12月21日にオランダハウスフェイスブックページに掲載されたものです。

 

今年も残すところあと10日、オランダハウスは1月14日で閉館いたします。肥前さが幕末維新博覧会のパビリオンの一つとして活動してきましたオランダハウスは、画期的な形、かつ大がかりに「アーティスト・イン・レジデンス」を展開して参りました。
オランダハウスが迎えた最後のアーティスト(5組目)であり、市民参加型のプロジェクトを行いましたヴィクター・エンバースさん。
10月28日に行われました刺繍プロジェクトの作品のご披露およびヴィクターさんによるレクチャーには、佐賀の皆さんへの熱い思いと感謝と、日本文化への敬意があふれています。
刺繍にご参加いただいた500名の方たちにも、またそれ以外の方にも、興味深く受け止めて頂ける内容と思いますので、4,5回にわけて掲載させていただきます。

 

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【アジアにルーツのある私ですが、日本に来る前は、みなさんが協力してくれるものか、全くわかりませんでした】
(以下、ヴィクターさんのレクチャーの文言です)

 

今日は沢山の方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。おかげさまで!

 

昨夜、家でいつもの刺身ととコップ酒で一杯やりながら、いま、自分は本当に不思議な国に暮らしているのだ、とつくづく感じました。
オランダでは、ピンク色をした車をこんなに見ないし、家々はこんなに沢山の違った色を使っていないし、砂丘ぐらいの高さより高い山も存在しない。オランダ人はお酒(日本酒)をほとんど飲まないし、おはしを使ってものを食べたりしないもしない……。
私は日本人ではありませんし、この先、日本人になれることは決してないでしょう。それでも、「日本は素晴らしい国だ」という結論にたどり着かないわけにはいかず、私は以前ほど、日本が奇妙だとは思わなくなっていたのです。
まず、私の刺繍プロジェクトのことからお話ししたいと思います。

 

「私の名前はビクターです。オランダ人です」

 

お客さんが部屋に入って来ると、私はこう言って迎えました。それからあちらの名前を尋ねて、刺繍プロジェクトについて説明しました。自分で数針刺してみせて、次にお客さんが刺してみて、

 

「そう、カンタンですね!」

 

2か月近くそうやって一緒に、このプロジェクトに取り組み、いまそれが終わりました。
しかし、私は「これはほんの始まりに過ぎない」と感じています。私はここにかならず戻って来るとわかっているから――ここで出来た新しい友達に再会するだけでもいいけれど、願わくば、次のプロジェクトに着手したいと考えています。
私にとって、これが初めての日本でした。来る前、みなさんが本当に私のところに来て、手助けしてくれるかどうか、わかりませんでした。
私はアジアにルーツがあります。母が一部、インドネシアの血を引いているので、私にもアジアの血が流れていますが、アジアの国も、日本も一度も訪れたことがなかった。なので、みんなで一緒に刺繍をするというアイディアに、どうリアクションされるか、予測がつかなかったのです。
しかし、驚くべきことに、正味500人を超える人たちが参加してくれました。女性だけでなく、男性、男の子、女の子、幼い子供たちやうんと年配の方たち。中には刺繍は一度もしたことがない、という方もいらっしゃいましたし、子供の時以来20年、30年、ときには50年ぶりに刺繍をした方もおいででした。
一度ならず、何度も来て下さる方、ほとんど毎日来られ方もありましたが、みなさんの助けなしには、このプロジェクトはとても終わりませんでしたし、これが大事な点ですが、これほど美しい作品には仕上がらなかったと思います。
ご参加いただいた方たちにはいくら感謝しても足りません。みなさんこそ、真のアーティストです。
その2に続く)

 

↑10月下旬、2か月近い制作期間を終えて、壁にかけられたばかりの刺繍作品。テーマは「色がぼくらを一つにする!」

 

↑生まれて初めてのアジア、日本。佐賀に来て、刺繍を始めるにあたり、地元の玉屋デパートで作務衣を買い求めました。以降、この作務衣はビクターさんがオランダハウスで刺繍をする時のトレードマークになりました。

 

 

↑ヴィクターさんの絵本のキャラクター、キャプテンクヌート。毎日、日本語を使ってお客さんたちと刺繍をしていた頃、ヴィクターさんが描いたクヌートのイラスト。クヌートが日本語を教えているところだそうです。

 

 

↑オランダハウスを見学にきた保育園の子供たちが、日本に到着してすぐのビクターさんとご対面。ビクターさんは自身のアート作品のフェルトの帽子(黄色にピンクのホタテ貝)をかぶってご挨拶。

 

 

↑大きな布に最初のひと針。

 

 

翻訳・文 オランダハウス 樋渡優子
Translation text by Yuko Hiwatari at the Holland House

2018.3.17 - 2019.1.14
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